開催概要
講演情報
近年,徒歩や自転車といった身体活動を伴う交通手段であるアクティブモビリティ(AM)が,健康や環境の観点から注目を集めている.本研究では,移動距離の増加に伴ってAMの選択率が減少する傾向を捉える数理モデルとして,ガウス型曲線を提案する.連続平面上に一様分布する人々が最寄りの施設を利用するという状況を想定し,施設密度とAMの分担率および平均移動距離との関係を解析的に導出する.得られた解析解に基づき,AMの利用を促進するうえで望ましいヒューマンスケールの施設密度について考察する.
近年,都市部を含め買い物弱者の増加や商店街の衰退が課題となっており,徒歩でのアクセス性の確保や賑わいの創出が求められている.そのためには,各地域に滞在する人々の量や行動特性の実態を詳細に把握することが重要となる.本発表では,東京区部を例に,GPSデータを利用した建物用途別の発生集中量推定の高精度化や,商業集積地における業種構成に応じた人流パターンの特徴づけの結果を紹介し,歩行との関連を論じる.
*** 休憩 ***
【講演3】16:20–17:20
歩行による死亡率低減効果に着目した施設配置
栗田 治(慶應義塾大学)
近年,国内外の疫学研究が歩行による死亡率の低減効果を解明しました.講演者はこのことに着目し,①地域住民にできるだけ目標距離を達成していただくための施設配置,②地域住民の平均死亡率を目標とする水準に抑えるための施設配置,という2つのタイプのモデルを創案しました.これらについて,1次元空間ならびに2次元の矩形領域における最適解がもつ特性を解明した内容をお話しします.特に矩形領域において中央の商店街の長さが住民の平均死亡率に影響を与える様子を記述した内容は,今後の地区設計に示唆を与えるかもしれません.