住友生命、慶応大学、企業年金の新評価手法、長期の資産管理、柔軟に。
掲載日:2002/07/05 媒体:日経金融新聞 ページ: 3 文字数:731
 住友生命保険は慶応義塾大学と共同で、企業年金の新評価手法を開発した。加入者の推移や予定利率の引き下げなど企業年金の負債の変化を、株式や債券など資産の構成に反映できるようにしたのが特徴。これまで硬直的だった長期間の資産管理を、毎年柔軟に見直すことも可能にした。住友生命は慶応大とビジネスモデル特許を出願、この手法を活用して年金コンサルティング事業を強化する。
 住友生命が開発したのは企業年金ALM(資産と負債の総合管理)の新手法。慶応大の枇々木規雄助教授が提唱する多期間最適化理論を導入した。
 これまで五十年といった長期にわたりALMを実施する場合、加入者の減少など負債のキャッシュフロー(現金収支)を織り込むことができなかった。
 この理論を使い計算すれば、負債の変化に応じて株式や債券の比率を毎年見直し、一年後に上げた比率を二年後に再び引き下げたりすることができる。
 例えば、高齢の従業員を多く抱える大企業では、今後五年間で加入員が大幅に減少する企業も多い。そうした企業では一般に、国内外の株式などリスク資産を抑制する必要があるものの、これまでのALMでは加入員減少の影響を十分に試算できなかった。
 また、予定利率や給付利率の引き下げに踏み切った場合の理想的な資産構成についても、今回の手法で提供が可能になった。
 とりわけ、今後増加が予想される混合型年金を導入する企業にとって、導入効果が簡単に把握できるようになる。
 生命保険会社や信託銀行は、顧客である企業年金のALMコンサルティング業務を手がけている。住友生命は精度の高いコンサルティングを武器に、企業年金の受託増加をめざす。
 開発したシステムを、他の生保やコンサルティング会社に販売することも検討する。