枇々木規雄
, 福川忠昭 : 本支店ALMモデルによる銀行のリスク管理, 経営情報学会誌, Vol.3, No.2(1995年1月), pp.1−11.概要
金融の自由化や国際化の影響を受け、銀行業においては利益だけでなくリスクへの対応が重要な課題となっており、
ALM(資産負債管理)が行われている。ALMは本部で行われており、リスク管理を中心として銀行全体が目指す目標を達成するために、資産や負債の持ち方の最適な方策を決めるモデル化も枇々木らによって提案されている。しかしながら、銀行の預金や貸出金などは主に支店によって扱われており、より実行可能性の高い方策を計画するためには、各支店の活動も考慮してALMを考える必要がある。一方、支店におけるリスク管理は支店に対する資金管理の方法と関係がある。そこで、まず支店に対するALMの考え方として、資金管理の方法の違いによる独立型と予算配分型の二つを示す。そして、本部が銀行全体の計画を決めた上で、各支店における活動計画を考慮する本支店ALMモデルを提案する。このモデルで与えられたALMの問題は目標計画法によって解くことができる。最後に、数値実験によってモデルの分析を行い、その有用性を検討する。