枇々木規雄
, 福川忠昭 : 通貨別(多通貨)ALMモデルによる銀行のリスク管理, 日本経営工学会誌, Vol.45, No.2(1994年6月), pp.110−117.
概要
日本の銀行は自由金利による調達コストの増加や国際決済銀行による自己資本比率規制など, 金融の自由化・国際化の影響を受けて大きく経営環境が変わり, 利益だけでなく金利変動リスクなどの財務リスクの管理も重要なテーマの一つになっている. さらに日本の銀行は国際的な活動を行っており, 多通貨の資産や負債を管理することが不可欠になっている. そこで本研究では, 銀行のリスク管理手法であるALM(Asset Liability Management : 資産負債管理)の考え方に基づいた従来の1通貨に対する多期間モデルを多通貨に拡張した通貨別(多通貨)ALMモデルを提案する. まず, 本モデルの特徴を明らかにし, 目標計画法を利用した定式化を示す. そして, 数値実験により利益とリスクのトレードオフ関係や多通貨の取り扱いなど, モデルの有用性を明らかにする.