枇々木規雄
, 福川忠昭 : 銀行のリスク管理のための多目標単純リコース確率計画ALMモデル, 管理会計学, Vol.2, No.2(1993年12月), pp.47−66.概要
日本の銀行は金融の自由化・国際化の影響を受け
, 厳しい経営を迫られている. このような経営環境の中で, 銀行は様々な規制の下でリスク管理を十分に行いながら, 利益をあげる必要がでてきた. 本論文では, 銀行のリスク管理手法であるALM(資産負債管理)の考え方を利用し, 不確実性を考慮した多目標単純リコース確率計画ALMモデルを提案する. このモデルの特徴は, 銀行経営にとって重要になってきているBIS(国際決済銀行)の自己資本比率規制に含まれる確率的要素を確率制約式として取り扱うなど, 不確実性を考慮しつつ, トレードオフの関係にあるリスクと利益という多目標を取り扱うことができることである. そして, このモデルによってALMの問題を解く方法論として, 単純リコース型の確率計画法における確率制約式と目標計画法における目標制約式との両方を一度に取り扱う方法を提案する.